コラム

2020.09.02

本日の手術と、他院で手術を勧められていた?分層黄斑円孔の患者さん

本日は手術日でした。

本日は硝子体手術がなく、久しぶりに白内障手術のみ10件行わせていただきまして、みなさん無事に終わりました。

(9人が通常の白内障手術で、1人が選定療養を使用した3焦点眼内レンズ挿入をいたしました)

毎度毎度ながら、術後皆さんに電話するのが楽しみですが、ほとんど痛みもないとのことで、明日が楽しみです。

 

前回の黄斑円孔の続きで、最近こんな患者さんが、やや遠方からいらっしゃいました。

かかりつけにしていた眼科クリニックで、そろそろ手術をしないと、視力が低下して大変なことになるので、速やかにopeをしたほうが良いとして、ある医院を紹介されたのですが、いろいろ調べた結果不安があり、当院を受診されました。

 

 

黄斑円孔とのことで紹介状が書かれておりましたが、前回の黄斑円孔とは全く違う画像です。参考までに前回の写真を御覧ください。

 

 

当院で手術に踏み切った方は、上図のように網膜全層を貫通する穴が空いております。

今回、手術を勧められて診察にいらっしゃった方の場合は、分層黄斑円孔(lamellar macular hole:LMH)といいまして、網膜内層と外層に穴が空いているように見えますが、網膜の最下層までは欠損していない事がわかります。矯正視力も0.7に保たれています。本当の黄斑円孔なら網膜全層が欠損し、視力も出ません。かつ、後部硝子体剥離が完全に起こっており、直ちに網膜の牽引の原因となる要素は見られませんでした。

 

分層黄斑円孔の疾患概念は確定的ではなく,その診断基準には議論があるところではありますが、一般的に分層黄斑円孔の場合、網膜前膜を伴わないことが多いですので(網膜前膜を伴うものは、macular pseudohole:MPH:偽黄斑円孔といって区別します)基本的に歪視症(=ゆがんで見えること)を訴えない方がほとんどです。

【参考文献:眼科60巻13号 分層黄斑円孔の診断】 

 

この方はまだ若く、手術の侵襲のほうが多く、白内障も進行してしまうと思われ、おそらく視力低下の原因となる可能性が高いと思われましたので、今は手術をせずに経過観察を続けたほうが良いとお話させていただきました。

治療というものは、EBM=(根拠に基づく医療: evidence-based medicine, EBM)であるべきであり、自分は日々時間のあるときに文献を読み、十分に実施された医療研究で得られた証拠を採用することにより、最大限に日々の診療の質を高めることに注力しております。

 

病気があるからと言って、何でもかんでも手術してしまうのはいかがなものかと思います。患者さんにとって、どのような選択肢が一番いいのか日々考え、悩み、勉強の毎日です。

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