多焦点眼内レンズと眼内レンズの種類について
自分に適した眼内レンズとは?
眼内レンズには種類があるため、迷われる方もいらっしゃると思います。
以下の表を参考に自分に適するレンズを考えてみましょう。
通常の眼内レンズは焦点が1つのため術後にメガネが必要となりますが、多焦点眼内レンズの場合、近くと遠くにピントが合い、手元から遠くまで概ね見えますので、術後にメガネをかける頻度が減りますが、完全に眼鏡が不要になるわけではありません。
現在全国での白内障手術の2%が多焦点眼内レンズとなっております。
眼内レンズの種類 | ||
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単焦点レンズの見え方 | 2焦点レンズの見え方 | 3焦点レンズの見え方 |
遠くにだけピントが合います。 近くの距離を見るには老眼鏡が必要です。 |
遠くと(中間や近く)の2ヶ所にピントが合う のでメガネをかけることが少なくなります。 |
遠くと中間と近くの連続~3ヶ所にピントが合います。 |
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白内障治療向け老視矯正 連続焦点型レンズ Technis Synergy(テクニスシナジー)

令和3年初頭より新しく発売されたレンズで、Johnson&Johnson社の、テクニスシナジーです。
このレンズの特徴は、焦点深度拡張型=EDOF(遠くから近くまで幅広く見える=自然な見え方)+3焦点の性質この2つをあわせもっていることです。
Technis Synergyテクニスシナジーの特徴
- 3焦点レンズとEDOFレンズのいいとこ取りをした令和3年最新のレンズです。
- 今の3焦点レンズもとても優れておりますが、これに連続焦点要素のEDOFが加わることにより、データ上近くの見え方も現在の3焦点眼内レンズよりも優れていることが分かっています。
- 理想に近づいた多焦点眼内レンズで、多焦点の欠点である「ハロー、グレア(夜のライトが散って見える)」もかなり抑えられています。
- 特に新聞や携帯など、近方はよく見えます。
- ハロー・グレア現象はそれなりにありますが、数ヶ月でなれることが多いです。
白内障治療向け老視矯正 3焦点眼内レンズ PanOptix(パンオプティクス)
3焦点レンズPanOptix パンオプティクスの特徴
- 実生活での作業に適した、まんべんなく遠方・中間・近方の見え方が得られます。
- 明るさの変化の影響を受けにくく、安定した見え方を実現します。
- 高い光利用率により、遠方・中間・近方のすべての距離において鮮明な視覚を提供します。
- ハロー・グレア現象はそれなりにありますが、数ヶ月でなれることが多いです。
ハロー・グレアが軽減されたEDOF(イードフ)レンズ Technis Symfony(テクニスシンフォニー)
当院ではSymfony(シンフォニー)というレンズを取り扱っております。
EDOF(イードフ)レンズ Technis Symfonyテクニスシンフォニーの特徴
- 遠方から中間距離まで自然に見えるので、長距離の運転でも疲れにくい
- ハロー・グレア現象を軽減でき、夜間も自然に見えるので、長距離の運転でも疲れにくい
- コントラスト(くっきり感)の感度が良好。一般的には多焦点レンズに向いていない、写真家の方や絵画が趣味の方にも向いているとされています。
- 中間までの自然な見え方と引き換えに、近方はやや見えにくく、約半数の方は老眼鏡を必要とします。
当院で取り扱う主な多焦点眼内レンズの種類
名称 | 単焦点レンズ | Technis Synergy テクニスシナジー |
Pan Optics パンオプティクス |
Technis Symfony テクニスシンフォニー |
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形状 | ![]() |
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レンズ種類 | 単焦点レンズ | 回折型(EDOF +2焦点レンズ) | 回折型(3焦点レンズ) | 回折型(EDOF焦点拡張型レンズ) |
焦点 | 一つだけの焦点 | 連続焦点 | 3焦点 | 遠方〜中間にかけて連続した焦点 |
グレア・ハロー | ほぼ無し | 有 | 有 | やや少ない |
くっきり感 | ◎ | 〇 | 〇 | ◯〜◎ |
読書(近方) | ◎~× 見えるのは、この中の一点のみ |
◎ | 〇 | △ |
PC(中間) | 〇 | 〇 | ◎ | |
スポーツ(遠方) | ◎~✖ | 〇 | 〇 | 〇 |
運転(超遠方) | ◎~✖ | 〇夜間のグレア・ハロー有り | 〇夜間のグレア・ハロー有り | 〇夜間のグレア・ハロー有り |
特徴 |
従来型の眼内レンズで、眼鏡が必ず必要になります。 眼鏡の使用に抵抗がなければ、全額保険適応で安く、くっきり見えるので光学的には素直なレンズです。 |
くっきり感が良好なテクニスシンフォニー(EDOF)に加えて、近方視力を改良した最新のレンズ。 眼鏡が不要になる場面が多いレンズで、 |
遠方か中間、近方までバランスよく見え、眼鏡が不要になる場面が多いレンズです。 近くもよく見えますが、どちらかというと中間から近くのバランス重視のレンズです。 ただし、乱視が強い方や網膜の病気がある方には不向きです。 |
くっきり感が単焦点並みに高く、遠方から中間距離までは途切れなく自然にみえるため、運転やパソコン重視の方に向いています。 残念ながら、近方はやや見えにくく約半数の方は老眼鏡を必要とします。 |
多焦点眼内レンズの種類による費用
なつみだい眼科は「選定療養施設基準」を満たしておりますので、自由診療に比較して、患者さんの負担が軽くなります。(自由診療だと、全て自己負担になります)
保険会社関連ですが、選定療養を用いた場合は、その他の検査・投薬・術後の通院に、通常通り保険が使用できます。細部は保険会社により異なる場合がありますのでお問い合わせ下さい
多焦点眼内レンズ 連続焦点型Technis Synergyテクニスシナジー
金額(手術費用) | |
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乱視ない場合 片眼 | 260,000円税込(レンズ代)+(*手術代・薬代その他すべて:保険診療) |
乱視強い場合 片眼 | 280,000円税込(レンズ代)+(*手術代・薬代その他すべて:保険診療) |
実際の手術費用は、(片眼)
3割負担の方で 保険診療分45,000円+レンズ代260.000円または280,000円(約30万5千円~32万5千円)
1割負担の方で 保険診療分15,000円+レンズ代260.000円または280.000円(約27万5千円~29万5千円)
多焦点眼内レンズ 3焦点型Pan Opticsパンオプティクス
金額(手術費用) | |
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乱視ない場合 片眼 | 240,000円税込(レンズ代)+(*手術代・薬代その他すべて:保険診療) |
乱視強い場合 片眼 | 260,000円税込(レンズ代)+(*手術代・薬代その他すべて:保険診療) |
実際の手術費用は、(片眼)
3割負担の方で 保険診療分45,000円+レンズ代240.000円または260,000円(約28万5千円~30万5千円)
1割負担の方で 保険診療分15,000円+レンズ代240.000円または260.000円(約25万5千円~27万5千円)
多焦点眼内レンズ 2焦点拡張型Technis Symfonyテクニスシンフォニー
金額(手術費用) | |
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乱視ない場合 片眼 | 180,000円税込(レンズ代)+(*手術代・薬代その他すべて:保険診療) |
乱視強い場合 片眼 | 200,000円税込(レンズ代)+(*手術代・薬代その他すべて:保険診療) |
実際の手術費用は、(片眼)
3割負担の方で 保険診療分45,000円+レンズ代180.000円または200,000円(約22万5千円~24万5千円)
1割負担の方で 保険診療分15,000円+レンズ代180.000円または200.000円(約19万5千円~21万5千円)
多焦点眼内レンズの注意事項
多焦点眼内レンズは従来の単焦点眼内レンズと異なり、遠くも近くも(ある程度) ピントを合わせることは可能ですが、人工的に作られた見え方をするため、若い頃の遠近全て見えていた頃の見え方とは異なります。
また、全体的にコントラスト感度が低下するといいまして、濃淡が甘くなり、僅かながらはっきりしない特性があります。
逆にそれらが気になる方は、多焦点眼内レンズの見え方に適応できない可能性がある為、単焦点眼内レンズをお勧めすることもあります。
多焦点眼内レンズにむいてない方
- 夜間運転が多い方:グレア・ハローといいますが、対向車のヘッドライトの周りに輪ができるため慣れるまでは夜間や暗所での光がまぶしいため
- 神経質な方:すべての距離にピントが合うわけではなく、完全にメガネ無しで生活できるわけではないため
選定療養とは
選定療養とは、患者さんご自身が選択して受ける追加的な医療サービスで、その分の費用は全額自己負担となります。
令和2年4月より、術後の眼鏡装用率の軽減を目的とした多焦点眼内レンズを使用する白内障手術は、厚生労働省が定める選定療養の対象となりました。
当院では多焦点眼内レンズの白内障手術を行う医療機関として届け出をしています。多焦点眼内レンズの対象となる患者様には診察時に詳細をご説明致します。