コラム

2020.08.29

黄斑円孔の患者さんの経過と、分層黄斑円孔に関して

以前の黄斑円孔の患者さんの術後経過です。

黄斑円孔とは中心窩の網膜に穴(孔)があいてしまう病気です。穴自体は直径0.5ミリメートルに満たないとても小さなものですが、最も視力が鋭敏な部分にできるため、大きな影響が現れます。完全な穴が形成されてしまうと、視力は0.1前後(近視などは矯正した状態で。以下同様)になってしまいます。

 

最近の当院での自験例をご覧いただきます。(画像に関して、患者さんには掲載許可を頂いております)

左眼の歪視性で来院されました。黄斑円孔は4段階のステージがあって(4が一番悪いです)今年6月の段階では、ステージ1と言いまして、左眼黄斑部には、穴が完全には空いていない状態でした。(下図 左眼中心部に穴が空きそうになっています)

 

 

OCTという特殊な診断装置がない時代は、本来の穴が空いているか空いていないか、診断が困難でした。

昨今の機械の進歩は凄まじく、例えば将棋のAIがプロ棋士よりも強いことが証明された今、いかに熟練の先生といえども、これに関しては機械にはかないません。自分の考え方は、機械にできることはまかせてしまい、その分の時間を人とのコミュニケーションであったり、機械ではできないことに当てると診療の質が高まると信じております。

話が戻りますが、ステージ1の場合、自然に後部硝子体剥離が起こってくれれば、勝手に穴が閉鎖することもままありますので、一般的には自然治癒を期待しながら待つことが多いです。この方も、視力が良好でしたので、経過を見ておりました。

 

一ヶ月後の検診で、視力が下がったとの訴えで来院されました。再度OCTで確認したところ、、、、、、、、、

 

 

 

自然に治るように期待して経過を見ていたのですが、残念ながら完全な黄斑円孔(ステージ3)に移行してしまいましたので、早急に手術の計画といたしました。

当院で手術は計画通り無事終了いたしまして、前回お話したように、円孔を押さえつけるために特殊なガスを注入して、頑張って(おおむね)3日間、うつ伏せをがんばっていただきました。

 

 

術後一日目、ガスが100%残っている段階ですが、もうすでに、穴がふさがっているような気がします。

 

 

眼球内部が100%気体(20%調整された六フッ化硫黄ガス)で置換されております。

眼球内容が通常の屈折率と異なるこのような状態の眼は、少し前の撮影装置ですと、撮影するのさえ困難でしたが、最新の機械はやはりすばらしいものです。

 

術後7日目です、ガスがかなり引いてきて黄斑部が見えるようになり、円孔の閉鎖が確認できました。

 

 

完全に落ち着くまでは、半年から一年かかりますが、まずは閉鎖が確認できてよかったと考えております。

黄斑円孔の初回閉鎖率は90%程度と高いのですが、これも今までいろんな方に教わり、努力して培った技術があってのもので、すべての人に感謝いたしながら、少しでも社会に還元できるように、患者さんを少しでも笑顔にできるように頑張っております。

 

次回は、これによく似た、他院で、手術しなければ大変なことになる!? と言われた分層黄斑円孔をご紹介いたしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

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