コラム

2020.04.02

眼内レンズ脱臼の強膜内固定手術 その弐

強膜内固定の続きです。

 

水晶体嚢のかけらのようなものが、わずかに開いている瞳孔から見えましたので、これを頼りに基礎としてレンズを載せようか、、、、、一瞬考えましたが、、、、、、、orz

 

 

何しろ50年以上前のお怪我で、癒着もひどいと考えられましたので、すっぱり強膜内固定したほうが、のちのち問題が少ないと考えました。

 

もともと日本人は、手先が器用ではないかと言われているのですが、、、

山根先生という偉い方が、数年前にこの術式を開発されて、昔はレンズ固定だけで、1時間以上はかかったかもしれない手術を、町医者でも十分に手術が可能なくらいに、大幅に短縮することができました。

 

このような術式を考えつく先生には本当に尊敬の念しかございません。

 

まずは、瞳孔が中心からずれていて偏位していてはいけませんので、眼科用フックを二本同時に用いて、鈍的に虹彩を剥離します。

 

 

 

このとき、あまり頑張りすぎると、虹彩離断といって、とんでもないことになりますので慎重に行います。

 

 

ある程度癒着が取れたら、通常の硝子体切除を行います。必ず硝子体剥離があるか確認した上で、特に手術スペースの下方に注意して、周辺部を可能な限り郭清します。

 

このとき、残存している水晶体嚢をとりたくなるところなのですが、ここでもあまり頑張りすぎると大出血を起こすことがありますので、慎重に行っています。

 

眼底は思いの外、キレイでした。 これなら行けるかな?  と期待が持てそうな予感がします!

 

 

 

大口径の眼内レンズを通常通り挿入します、このとき、足の位置をあらかじめピンポイントで、合わせておくのがポイントです。

狭い眼内で、あとから色々操作するのはとても大変です。

 

 

内部を薄く加工してある、特殊な30Gの肉薄針を使用して、眼内レンズを針の中に収めていきます。

この方は、瞳孔が開かないので、かなり困難を伴います。

 

 

無事に両脚が、眼内から出てきまして一安心です!

 

翌日、瞳孔は正円で中央にあり、眼内操作が多いため、炎症が少し出ておりますが、レンズの固定も良さそうでした。

患者さんは、今までピントが合っていなかったものが、ピントが合って見えると喜んでおられました。

 

 

まだまだ精進が必要ですが、地域の患者さんの笑顔をみるのが生きがいです。喜んでいただけるのが嬉しくて、何より疲れがふっとびます!

 

これからも全力を尽くします。よろしくご指導のほどお願いいたします。

 

追記:

掲載に当たり、当初より、患者さんから快諾を頂いております。

術後14日目ですが、視力が裸眼で1.0と、裸眼で運転できるほどに回復してきており、患者さんが大変喜んでおられました😊

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